日本の片付け本が大ヒット、北米で発行部数50万部
『人生がときめく片づけの魔法』 (近藤麻理恵著・英語版)
2015年5月19日
2011年にサンマーク出版から刊行された片付けコンサルタント、近藤麻理恵さん (30) の 『人生がときめく片付けの魔法』の英語版が、米国・カナダで昨年10月に刊行されて以来、発行部数は50万部に達した。
韓国や英国でも版を重ね、世界的ベストセラーに。
「物に感謝しながら捨てる (tidying up)」 という発想が 「神秘的な日本」 の良さとして受けている。
英語版の題は “The Life - Changing Magic of Tidying Up”。
サンマーク出版によると、米国では増刷を繰り返し、ニューヨーク・タイムズなど米紙も大きく取り上げた。
今年に入って売れ行きに勢いが出ており、インターネット通販大手アマゾンの書籍総合ランキングで1位に。
今後はロシアやブラジルなどでも刊行し、30か国以上に広がる見通しだ。
ネット上では「Kondo」が「近藤さんのように片付けをする」という意味の動詞として使われるほど。
ツイッターでも整頓された本の写真と一緒に「本棚をコンドーした」とメッセージを投稿するファンが現れた。
日本で計142万部の大ヒット作。
「米国では数年がかりで長く本が売れる。100万、200万部もあり得る」とサンマーク出版は期待する。
「触ったときに、ときめくか」。
ときめきを感じるものだけ残し、残りは捨てるというのが近藤さん流の片付けの肝。
加えて「今までありがとう」と感謝しながら物を捨てるという発想が、米国読者にとって「日本的で新鮮」に映ったという。
近藤さんは「米国の読者は神秘的なスピリチュアルなイメージで私の片付け法をとらえているようです」と分析している。
ウォールストリート・ジャーナル紙は米国では景気が回復し、郊外から都市中心への人口移動が起きているとした上で「時代精神の転換を反映する完璧なタイミングで本が登場した」「人々が暮らしの中で物を限界まで溜 (た) め込んだような時代に、読者の心を捉えた」とやや大袈裟 (おおげさ) に評している。
1月下旬から約1か月かけて米国各地を回り、書店でのサイン会や片付けのレッスンに臨んだ近藤さん。
「家族が片付けないとか、どう片付けたらいいか分からないとか。
驚くぐらい日本と同じという印象でした」 現地メディアからは、片付けと日本文化のつながりについて尋ねられることも多かった。
「日本の良さとして、片付けを発信したい」 ビジネス書や実用書を手がけ、近藤さんの本以外にも海外で版権ビジネスを展開してきたサンマーク出版。
「海外でもてはやされる日本のコンテンツは、アニメや漫画だけではない」と植木宣隆社長は言う。
売り上げ不振に喘 (あえ) ぐ国内の出版業界が見出した光明と言えそうだ。
(2015年6月1日号掲載)