トランプ政権、税制改革案の概要発表、法人税15%に
企業の海外移転防止、所得減税も、実現不透明、国境税見送り
2017年4月27日
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トランプ政権は4月26日、税制改革案の概要を発表した。
企業の海外移転を防ぎ雇用を守るため、主要国で最高水準にある連邦政府の法人税率を現状の35%から、最も低い水準となる15%に引き下げると明記。
中間層の支援を目的とする所得税の減税も盛り込んだ。
与党の共和党が提案した「国境税」の導入は見送った。
ホワイトハウスで記者会見したムニューシン財務長官は法人税減税の狙いを「米国企業の競争力を世界最高にするためだ」と説明した。
実現すれば、米国で事業を展開する日本企業の子会社にも恩恵が及ぶが、財政赤字拡大に繋がりかねないだけに、議会との調整は難航しそうで先行きには不透明感が漂う。
会見に同席した国家経済会議 (NEC) コーン委員長は「(レーガン政権下の) 1986年以来の大改革で、歴史的な巨額減税だ」と強調した。
ただ、所得税が減税になる収入層や減税の穴を埋める財源などの詳細は5月中に議会と調整するとした。
詳細の公表は6月以降になりそうだ。
税制改革の決定権は議会にあり、法案は財政規律を重視する共和党がまとめる。
改革案の成否はオバマ前政権の医療保険制度改革 (オバマケア) の行方が鍵となりそうだ。
オバマケアの見直しによって財源を捻出しなければ、早期の実現は難しい。
所得税は収入に応じて10~39.6%の7段階に分かれている税率を、10、25、35%の3段階に簡素化する。
基礎控除を拡大するほか、子育て世帯向け減税も打ち出した。
企業が海外で上げた利益にも法人税を課すとの立場をとってきたが、日本など主要国と同じく課税対象外に切り替える。
節税目的で海外にため込んでいる「数兆ドル (数百兆円)」 (ムニューシン氏) の利益の還流を促すため国内に戻す際の税率を1回に限り優遇する。
オバマケアの財源確保で導入された投資所得への上乗せ課税や、相続税は廃止する。
トランプ政権の税制改革案は前政権のオバマケアの行方が鍵を握る。
見直しによって減税の穴を埋める財源を最大限に捻出し、財政赤字の拡大を抑えなければ、早期の実現は難しい。
トランプ大統領はオバマケアの見直しで浮いた財源を減税の一部に充てる考えだ。
制度の代替法案は3月下旬、オバマケアの完全撤廃を求める共和党内の保守強硬派の反対で撤回に追い込まれたが、保守強硬派も一部の要求が反映された修正法案には賛成する方針だ。
ただ、党内穏健派が賛成するかどうかは読めず、党幹部は修正法案の採決のタイミングを慎重に見極めようとしている。
(2017年5月16日号掲載)
