Thursday, 02 April 2026

「トランプケア」難航必至、攻防上院へ、選挙に波及も

「トランプケア」難航必至、攻防上院へ、選挙に波及も

未加入者へ科する罰金廃止、無保険者の大幅増加を懸念

2017年5月6日

トランプ大統領が最重要公約に掲げる医療保険制度改革 (オバマケア) 見直しのための代替法案が下院を通過、攻防の舞台は上院に移った。

トランプ氏は法案成立に自信を見せるが、身内の共和党にも「トランプケア」 に反対の声は強く、審議難航は必至。

新制度で多数の国民が保険を失うとみられ、来年の中間選挙に波及する可能性もある。

米議会予算局 (CBO) は、議会で法案審議中のオバマケア改廃により、保険に入っていない人が大幅に増えるとの試算を発表。

未加入に対する罰金が廃止されることで、未加入者は現行制度下の想定よりも2018年に1400万人、2026年には2400万人それぞれ増えると見込んでいる。

一方で、前政権の看板政策であるオバマケア見直しを重要公約に掲げてきたトランプ大統領は「全ての人のための保険」 を目指すとの主張を繰り返していた。

法案が下院を通過した5月4日の翌5日。

トランプ氏はツイッターに「大勝利だ」と書き込み、上院では「本当に素晴らしい医療保険制度が完成する」と宣言している。

下院多数派の共和党が作成した法案は、保険加入義務の撤廃や低所得者向けの保険縮小が柱。

党内の強い反対を受け3月末に採決直前に撤回された。

オバマケア完全廃止を求める党内保守強硬派に配慮し、既往症を持つ人に高額保険料を免除する規定も州が変更できるようにするなど修正を加え、可決にこぎ着けた。

だが、法案には早くも非難が噴出している。

病院・医療業界は「弱者から保険を奪う」と反発。

議会予算局が法案修正に伴う無保険者数の試算を出す前に採決を急いだことにも疑問が大きい。

ニューヨーク・タイムズ紙社説は、トランプケアで国民が受ける不利益を「恐怖のカタログ」と列挙、上院に慎重な対応を求めた。

上院では6月にも審議が始まる見通しだが、可決されるかは不透明だ。

定数100の上院でも共和党が52人で多数を占めるものの野党民主党との差はわずか。

党内では重鎮議員が既に法案に難色を示している。

コーカー上院外交委員長は「通過の可能性はゼロ」と断言している。

独自の法案を作成する動きもある。

民主党は来年の中間選挙での争点化を目指し、上院審議で抵抗する方針だ。

同党のジェラルド・E・コノリー下院議員は「ひどい法案を押し通し、共和党は自らに死刑宣告したようなものだ」として多数派奪還に期待を示した。


(2017年6月1日号掲載)