クリントン氏、CA州予備選で勝利、トランプ氏と決選
雌伏8年、挫折から「ガラスの天井」 を破る再挑戦へ
2016年6月7日
クリントン前米国務長官がカリフォルニア州の予備選で勝利し、民主党の大統領候補指名を確実にした。
オバマ現大統領との党候補指名争いに敗れてから雌伏8年。
初の女性米大統領への関門を突破したクリントン氏。
米史に新しい時代を刻むことができるだろうか。
思い返せば、歴史的激戦となった2008年の民主党指名争いでクリントン氏が敗北を宣言したのは、ちょうど8年前の6月7日。
「つまずいても信念を持ち続けよう。倒されてもすぐ立ち上がろう。もうやめるべきだとの意見に耳を貸してはならない」と支持者に呼びかけた。
会場では大泣きする女性支持者の姿が見られ、政治生命は終わったとの見方が広がった。
しかし、想定外の運命がクリントン氏を待ち受けていた。
オバマ氏に請われ、国務長官就任を受諾。
野心を一旦は胸にしまい、かつての宿敵に4年間仕えた。
こうした曲折を経て、器 (うつわ) が大きくなったと評価する声は多い。
国務長官として100か国以上を訪問。
「世界で最も有名な女性」 とも形容される人物が米外交の顔となり、メディアによると地球38周分の距離を移動した。
外交分野の知見を広げ、各国要人との間で築いた人脈は掛けがえのない糧 (かて) となった。
当時は「公職はこれが最後」 と語っていたが、周囲やメディアは額面通りに受け取らなかった。
国務長官を4年で退任したのも、大統領選再挑戦への布石と解釈されていた。
「庶民の擁護者になりたい」。
2016年大統領選への出馬を正式に宣言し、夢に再び灯をともしたのは昨年4月だった。
「市民の前進を阻む全ての障壁を取り除く」 を合言葉とした。
排外主義を煽 (あお) る共和党のトランプ氏を大統領にしてはならないと訴える。
だが、今回も一筋縄ではいかなかった。
今の米国には未曽有の政治不信が広がっている。
大統領夫人、上院議員、国務長官を務めた華麗な経歴は有権者に 「エスタブリッシュメント (支配層)」の権化 (ごんげ) と映る。
その中で「政治革命」を叫ぶ伏兵、サンダース上院議員に指名争いで苦戦を強いられた。
世論調査では、有権者の過半数がクリントン氏に好感を抱いていない。
公務で私用メールアドレスを使っていた問題や、若年層の支持不足など多くの課題も浮かび上がり、本選も楽観できない。
しかし、女性の社会進出を阻んできた「ガラスの天井」を破るまで、あと一歩のところにまで来たのは事実だ。
「(女性大統領への) 道は、次はもう少し楽なものになるでしょう」。
クリントン氏は8年前の敗北演説で語った言葉をいま、自分自身に言い聞かせている。
(2016年6月16日号掲載)