Thursday, 26 March 2026

クリントン氏、CA州予備選で勝利、トランプ氏と決選

クリントン氏、CA州予備選で勝利、トランプ氏と決選

雌伏8年、挫折から「ガラスの天井」 を破る再挑戦へ

2016年6月7日


クリントン前米国務長官がカリフォルニア州の予備選で勝利し、民主党の大統領候補指名を確実にした。

オバマ現大統領との党候補指名争いに敗れてから雌伏8年。

初の女性米大統領への関門を突破したクリントン氏。

米史に新しい時代を刻むことができるだろうか。

思い返せば、歴史的激戦となった2008年の民主党指名争いでクリントン氏が敗北を宣言したのは、ちょうど8年前の6月7日。

「つまずいても信念を持ち続けよう。倒されてもすぐ立ち上がろう。もうやめるべきだとの意見に耳を貸してはならない」と支持者に呼びかけた。

会場では大泣きする女性支持者の姿が見られ、政治生命は終わったとの見方が広がった。

しかし、想定外の運命がクリントン氏を待ち受けていた。

オバマ氏に請われ、国務長官就任を受諾。

野心を一旦は胸にしまい、かつての宿敵に4年間仕えた。

こうした曲折を経て、器 (うつわ) が大きくなったと評価する声は多い。

国務長官として100か国以上を訪問。

「世界で最も有名な女性」 とも形容される人物が米外交の顔となり、メディアによると地球38周分の距離を移動した。

外交分野の知見を広げ、各国要人との間で築いた人脈は掛けがえのない糧 (かて) となった。

当時は「公職はこれが最後」 と語っていたが、周囲やメディアは額面通りに受け取らなかった。

国務長官を4年で退任したのも、大統領選再挑戦への布石と解釈されていた。

「庶民の擁護者になりたい」。

2016年大統領選への出馬を正式に宣言し、夢に再び灯をともしたのは昨年4月だった。

「市民の前進を阻む全ての障壁を取り除く」 を合言葉とした。

排外主義を煽 (あお) る共和党のトランプ氏を大統領にしてはならないと訴える。

だが、今回も一筋縄ではいかなかった。

今の米国には未曽有の政治不信が広がっている。

大統領夫人、上院議員、国務長官を務めた華麗な経歴は有権者に 「エスタブリッシュメント (支配層)」の権化 (ごんげ) と映る。

その中で「政治革命」を叫ぶ伏兵、サンダース上院議員に指名争いで苦戦を強いられた。

世論調査では、有権者の過半数がクリントン氏に好感を抱いていない。

公務で私用メールアドレスを使っていた問題や、若年層の支持不足など多くの課題も浮かび上がり、本選も楽観できない。

しかし、女性の社会進出を阻んできた「ガラスの天井」を破るまで、あと一歩のところにまで来たのは事実だ。

「(女性大統領への) 道は、次はもう少し楽なものになるでしょう」。

クリントン氏は8年前の敗北演説で語った言葉をいま、自分自身に言い聞かせている。


(2016年6月16日号掲載)