トランプ氏の大統領候補指名確実に、クリントン氏と対決
揺れる共和党、結束に難題、主流派屈服、修復できない亀裂
2016年5月4日
8年ぶりの政権奪還を目指す共和党の大統領候補指名争いは、実業家トランプ氏が指名を確実にし、11月の本選で民主党のクリントン前国務長官と対決する構図が固まった。
反主流派トランプ氏の指名阻止を画策してきた党主流派は、ついに屈服。
トランプ氏の下で党の結束を急ぐことになる。
しかし、指名争いを通じて深まった党内の亀裂は、容易に修復できそうにない。
「全力を尽くした。しかし有権者は別の道を選んだ」 あまりに突然だった。
7月の共和党大会まで戦い抜く姿勢を見せていたクルーズ上院議員が5月3日、選挙戦撤退を表明。
大混戦だった共和党指名争いの幕が、あっけなく下ろされた。
「予期していなかった」。
トランプ氏も勝利演説で意外感を隠さなかった。
トランプ氏を追うクルーズ氏は最近、3位のケーシック・オハイオ州知事と「反トランプ連合」を組むと表明。
指名が決まらないのに副大統領候補を発表するなど、長期戦をにらんだ奇策を次々に繰り出していた。
問題発言を繰り返すトランプ氏では、本選は戦えない。
党主流派の懸念は根強く、クルーズ氏の最後の抵抗も「トランプ降ろし」の延長線上にあった。
しかし「切羽詰まった政治工作」 (米紙) と冷ややかに受け止められ、その後の予備選で惨敗を重ねたことでクルーズ氏の計算は狂い、運動は瓦解した。
「クリントン氏を追い詰める。彼女はつまらない大統領にしかならない。通商を何も分かっていない」。
トランプ氏は3日夜、本選への意欲を示す一方、クルーズ氏の健闘をたたえ「結束が必要だ」と挙党態勢の重要性を強調したが、トランプ氏に嫌悪感を抱く共和党員は少なくない。
党重鎮のマケイン上院議員の元側近も3日、トランプ氏を本選で勝たせてはならないと指摘し、クリントン氏支持を表明した。
本選を占ったFOXニュースの4月の世論調査によると、クリントン氏の支持率がトランプ氏を7ポイント上回っている。
トランプ氏は白人男性の支持が強みだが、弱点が目立つ。
クリントン氏に女性の支持率で22ポイント、35歳未満で22ポイント、大卒以上の学歴で17ポイントの差をつけられている。
トランプ氏は本選に向けて過激な主張を封印し、党内の融和に全力を挙げるとみられるが、道は険しい。
ワシントン・ポスト紙電子版は3日、党内の「反トランプ」勢力が本選でトランプ氏の足を引っ張る方策の検討を始めたと報じた。
クリントン氏を利するのを覚悟の上で、本選の投票を棄権する案や、共和党と価値観を共有する第3党の候補を擁立する案が出ているという。
「共和党は暗闇に向かう長い旅の一歩を踏み出した」。
ニューヨーク・タイムズ紙は、トランプ氏の下で大統領選に臨む共和党の心境をこう代弁した。
(2016年5月16日号掲載)