すしネタ、刺し身の冷凍義務化
食中毒予防に、NY市の和食店困惑
2015年8月9日
すしのネタや刺し身は必ず事前に冷凍を —— 。
ニューヨーク市が食中毒予防として8月8日からこんな衛生基準を導入した。
解凍後に風味が落ちる魚もあり、こだわりの店からは「せっかく鮮魚を仕入れても台無しだ」と戸惑いの声が上がっている。
新基準では −35℃以下の低温で15時間以上の冷凍が必要。
寄生虫の比較的少ない養殖魚やマグロの一部は対象外。
フランスやイタリア料理店でも使われているエビやカキは規制されておらず、日系すし店は「和食を狙い撃ちにしている」 といぶかる。
最も影響を受けそうなのが白身魚だ。
「白身魚は解凍すると水分が抜けて特に劣化する」と話すのは、マンハッタンにあるすし店「対馬」のオーナー兼すし職人の対馬次男さん (50)。
静岡産のヒラメや石川産のアカムツを冷蔵で空輸しているが、規制対象外の養殖ものを検討するという。
40年以上の職人歴を持つ「スシ オブ ガリ」経営者の杉尾雅利さん (64) は「お客さんには本物のすしを出したいが、規則には従うしかない。和食には伝統的な衛生方法があるのに」と不満げに話す。
生の食材を素手で扱うのを禁じる別の規則もあり、職人は使い捨て手袋を着用している。
「日本政府は和食の安全性についても広く発信してほしい」 という声も聞かれた。
(2015年9月1日号掲載)