党派色を前面に出した予算教書、共和党へ対決モード
オバマ大統領に反発強める議会、政策の実現性乏しく
2015年2月3日
オバマ大統領は2月2日の予算教書で、党派色を前面に出して議会共和党に 「対決モード」 で挑んだ。
富裕層や大企業への増税を打ち出す一方、年金や医療費の抑制は手付かずのまま。
1月から上下両院を支配するようになった共和党とオバマ民主党政権の対立は根深く、反発を強める議会との協調は容易ではなく、政策が実現する可能性は乏しい。
予算教書で提案した富裕層や大企業への増税は、「小さな政府」を信奉する共和党が反対してきた政策で受け入れ難い内容。
オバマ氏は増税で捻出する資金を教育や保育などの中間層支援、高速道路や鉄道などインフラ投資に充てるとし、共和党に賛同を迫った。
下院共和党トップのジョン・ベイナー議長は「大統領の提案は課税、支出、政治対立の拡大だ。
中間層のためにならない」 と強く批判。
年金や医療費の抑制に慎重な民主党の主張だけを反映していると切り捨てた。
さらに「トップダウン式の古いやり方を繰り返してはならない」 と述べ、民間活力を生かした独自の予算案策定に意欲をみせた。
政権奪回を目指す共和党はあらゆる政策で対案の提示が求められている。
民主党と対立するばかりでは政権担当能力を誇示できない。
課税の抜け穴となる税制を見直すと同時に、法人税率を引き下げるなど税制改正は協力可能な分野。
「イスラム国」 などの新たな脅威に対抗するため、国防費の大幅カットに歯止めをかける方針でも一致している。
ただ、環太平洋連携協定 (TPP) をめぐり、日本が注視する通商政策で大統領と議会は 「捻 (ねじ) れ状態」にある。
大統領と共和党がTPPを推進するのに対し、民主党には反対議員が多い。
教書には貿易自由化で不利益を被る労働者への支援策を盛り込み、労働組合に近い民主党議員を説得する材料にする構えだ。
共和党のオリン・ハッチ上院財政委員長は「支援策の議論に前向きだ」と理解を示す。
しかし、歳出を増やす政策だけに共和党内には反対意見も多く、通商関連法案の審議停滞を招く危うさもある。
(2015年2月16日号掲載)