Monday, 06 April 2026

止まらぬ課税逃れの米国外本社移転、巨額の税収減少

止まらぬ課税逃れの米国外本社移転、巨額の税収減少

OECD加盟国中最高の法人税率、与野党対立で対策なく

2014年9月17日


corporate tax米企業の間で合併・買収 (M&A) を通じ、法人税率の低い国外に本社を移す動きが止まらない。

世論は税負担軽減に「法の抜け穴」 を利用する行為に批判的で、議会も対策の必要性を認める。

しかし、鍵となる法人税率引き下げは与野党対立に阻まれ、実現の見通しは立たないままだ。

ファストフード大手のバーガーキングは8月下旬、企業買収に伴って設立する持ち株会社を法人税の安いカナダに置くと発表、ツイッターには怒りの書き込みが溢れた。

同社は「節税目的ではない」としたが、移転反対を訴えるサイトには1日8万件超の署名が集まった。

租税回避を狙う本社移転はファイザー (本社:ニューヨーク) と英国のアストラゼネカ (本社:ロンドン) の製薬大手2社の合併交渉が4月、公になった際に注目を浴びた。

交渉は物別れに終わったが、ファイザーは法人税が安い英国に本社を移す計画だった。

経済協力開発機構 (OECD) によると、州と連邦を合わせた米国の法人税率は39.1%と加盟国で最も高い。

米国を除くOECD平均の24.8%を大幅に上回る。

英国は21%。

米企業が海外の子会社で稼いだ利益を国内に還流させると米国の高い税率が適用されるが、海外企業を買収し本社とする場合や持ち株会社を設立する場合、米国の税率適用を回避できる。

このため、M&Aを通じた「課税逃れ」 が後を絶たない。

オバマ大統領は2期目の選挙を控えた2012年、法人税率の引き下げを公約したが、税制全体の改革方針で下院多数派の野党共和党と対立。

議論は棚上げされたままだ。

米議会調査局によると、租税回避が目的とみられる本社移転は過去30年で76社、この10年間だけで47社に達した。

今年も10社以上を数える勢いだ。

対策を取らなければ今後10年で195億ドル (約2兆円) の税収が失われるとの試算があり、「税収の基盤が崩れる懸念」を指摘する。




(2014年10月1日号掲載)