4/8/2023
トランプ前大統領は4月4日、ニューヨークの裁判所で34に上る罪状全てに無罪を主張した。
政治家の資質を問われる不倫口止め疑惑で司直の介入を招き、大統領経験者で米史上初の刑事被告人となった前大統領の説明責任は重大と言える。
説明を果たさず政敵を非難する姿勢のままでは、分断の深化に歯止めがかからない。
起訴内容には不倫相手に口止め料を支払い、もみ消しを図った疑惑が含まれる。
大統領在任中に発覚した後も詳細を語ろうとはせず、真摯に向き合ってはこなかった。
それどころか、民主党候補として選挙で選ばれた検事やその家族を「トランプ嫌い」と中傷し、捜査は不公正だと批判を強めている。
政治的な「魔女狩り」と訴えて共和党の団結を呼びかけている。
2024年大統領選の共和党候補指名争いに名乗りを上げている前大統領は、過去にも多数の疑惑を抱えていた。
議会で弾劾裁判にかけられても無罪を勝ち取り、民主党への対抗心を求心力に変えてきた経緯がある。
今回も追及をかわし、支持者の結束を固めて反転攻勢につなげる戦略を描くが、穏健派や無党派層の離反を招く可能性もあり、奏功するかどうかは見通せない。
米国の司法制度は連邦と州の2本立てになっており、州ごとに制度も異なる。
トランプ前大統領が起訴されたニューヨーク州では、検察が示す証拠などを基に大陪審が起訴の是非を判断。
起訴された被告人が罪状認否で無罪を主張した場合、裁判となる。
検察側、弁護側の双方が争点を整理する公判前手続きの後、裁判所が定める期日に出廷する必要がある。
軽い犯罪以外は、一般市民から選ばれる陪審が有罪かどうかの判断を下す。
有罪の場合、量刑は裁判官が判断する。
(2023年5月1日号掲載)