10/1/2023
米メディアは9月22日、米政権が近く、ウクライナに長射程の地対地ミサイル「ATACMS (エイタクムス)」を供与すると報じた。
バイデン大統領がウクライナのゼレンスキー大統領にその方針を伝えた。
ワシントン・ポスト紙によると、クラスター (集束) 弾を使うタイプを提供する方向という。
供与されればロシアの反発は必至だ。
ウクライナは遅れている反転攻勢の局面打開に期待するが、米ニュースサイト、ポリティコ (Politico) は複数のバイデン政権当局者の話として、供与したとしても戦局を電撃的に変えるようなゲームチェンジャーにはならないとの見方を伝えた。
ウクライナの要請を受け、バイデン政権が供与の検討を続けていた。
ATACMSは射程約300キロで、前線から遠く後方にあるロシア軍司令部を攻撃することが可能になる。
戦場で劇的な戦果を上げた高機動ロケット砲システム「ハイマース (HIMARS)」から発射できる。
ウォールストリート・ジャーナル紙によると、10月中にも少数を供与し、その後に追加供与する可能性もある。
ウクライナ軍は雨で地面がぬかるみ、進軍が難しくなる晩秋までに投入したい考えだ。
国防総省は、ウクライナにATACMSを供与すれば備蓄が不足し、他の紛争が起きた場合に米軍の即応性に影響が出ると懸念していた。
米政権内にはロシアとの戦線拡大を招くとして供与に反対する声もあった。
米軍のATACMSの備蓄は、クラスター弾を使うタイプが他のタイプよりも多い。
クラスター弾は親爆弾から多数の子爆弾を撒 (ま) き散らす。
不発弾で一般市民に被害が出る可能性もあるため、非人道的との批判が根強い。
バイデン氏は9月21日、ゼレンスキー氏とホワイトハウスで会談し、最大3億2,500万ドル (約480億円) 規模の追加軍事支援を表明。
その中にATACMSは含まれておらず、サリバン大統領補佐官 (国家安全保障問題担当) は「選択肢から排除したわけではない」と説明していた。
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▪︎ ATACMS (エイタクムス):米ロッキード・マーチンが開発した射程300キロの戦術地対地ミサイル。
米国がウクライナに供与済みの高機動ロケット砲システム「ハイマース」から発射できる。
湾岸戦争やイラク戦争で使用された。
韓国のほか、北大西洋条約機構 (NATO) 加盟国のルーマニアやポーランド、トルコも所有している。
*写真:米国の国防企業ロッキード・マーチン社が製造した地対地ミサイル (SSM) = MGM-140陸軍戦術ミサイルシステム (ATACMS)
*Picture:© Mike Mareen /shutterstock.com