トランプ大統領就任から半年、保護主義、パリ協定離脱など
米主導の平和終焉、対北朝鮮も米国第一、安保依存の日本にリスク
2017年7月17日
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トランプ大統領の就任から半年。
保護主義的な通商政策や、地球温暖化防止の枠組み「パリ協定」からの離脱表明など「米国第一」路線を突き進みつつある。
米人政治学者イアン・ブレマー氏は「パクス・アメリカーナ (米国主導の平和)」が終焉を迎えると指摘、安全保障で対米依存を深める日本は大きなリスクを負うと警告した。
Q: トランプ外交をどう見るか。
A: 多国間主義への嫌悪を隠さず、単独行動主義に傾斜した。
全てを “取引” とする見方は、民主主義や自由貿易を軸とした戦後秩序を逸脱する。
トランプ氏は米国のパワーを自国に利益をもたらす取引のために使おうとする。
その点では、中国の外交路線に近い。
Q: 国際情勢への影響は。
A: 近現代でこれほど無能な米大統領はいなかった。
米国が依然重要な国だとしても、不信を募らせた各国は新たな道を選び、離反を始める。
中ロが攻勢を強め、指導的国家を失った 『Gゼロ』 時代に突入しつつある中、パクス・アメリカーナは突然終わるかもしれない。
今年1月、2017年の世界最大のリスクに『米国』 を挙げたのはそのためだ。
Q: 安倍政権の対米方針への評価は。
A: 安倍政権が優先課題とした環太平洋連携協定 (TPP) を離脱するなど、トランプ政権は (同盟関係を堅持する上で) 日本に多くを与えようとしない。
日本は自国の信頼性を印象付けようと、より大きな対米貢献をしようとする。悪循環だ。
北朝鮮をめぐる緊張が高まり、米中関係は悪化する公算が大きい。
安全保障で米国に肩入れする安倍政権はリスクを負う。
トランプ政権を不安視するアジア諸国の間で中国の重みは増しており、日本が米国と歩調を合わせて中国との敵対関係を先鋭化させれば 『アジアのイスラエル』 と化して孤立する事態もある。
Q: 米国の北朝鮮対応はどうなるか。
A: 人権問題に関心が低いトランプ氏なら、金正恩朝鮮労働党委員長との直接会談に乗り出すかもしれない。
“取引” が成立すればノーベル平和賞ものだが、北朝鮮のミサイルが米国の脅威になるのを容認しないと公言してきたトランプ氏が軍事力行使を選ぶ確率もこれまでになく高い。
そうなれば、最も打撃を受けるのは日本や韓国だ。
日本は米国の北朝鮮政策も『米国第一』主義に基づいていることに留意すべきだろう。
◆ イアン・ブレマー氏
1969年生まれ。 1994年スタンフォード大で博士号 (政治学) 取得。
フーバー研究所などを経て、28歳で国際政治リスクの調査会社ユーラシア・グループを設立。著書に『「Gゼロ」後の世界』など。
(2017年8月1日号掲載)
