第88回アカデミー賞『スポットライト』 に作品賞と脚本賞
演技部門候補2年連続白人のみ、映画人からの批判相次ぐ
2016年3月1日
第88回アカデミー賞授賞式は、演技部門の候補が2年連続で全員白人となり、黒人の出席拒否者が出た騒動の影響か、意見表明が相次ぐ場となった。
大統領選の候補選びが集中するスーパーチューズデーが2日後に迫っていたのも遠因だ。
冒頭15分間は、司会の黒人俳優でコメディアン、クリス・ロックの独演会。
騒動に絡めた毒舌ジョーク連発で笑わせながら 「僕らは白人俳優と同じだけ機会が欲しいんだ」と主張した。
作品賞と脚本賞に輝いた “Spotlight” (邦題『スポットライト 世紀のスクープ』/トム・マッカーシー監督) はカトリック教会神父たちの性的虐待を暴いた新聞記者たちの実話。
製作者は「被害者の声がこの受賞で増幅され、バチカンに響いてほしい」と訴えた。
“The Revenant” (邦題『レヴェナント 蘇えりし者』) のレオナルド・ディカプリオは、俳優部門の候補5度目で主演男優賞を獲得したが、悲願成就の喜びよりも気候変動の問題をアピール。
「今度の選挙で、文明の未来を危ぶむリーダーに投票する必要がある」と熱く語った。
“The Revenant” は他に、アレハンドロ・G・イニャリトゥが昨年の “Birdman or (The Unexpected Virtue of Ignorance)” (邦題『バードマンあるいは (無知がもたらす予期せぬ奇跡)』) に続き監督賞を獲得した。
2回連続は史上3人目。
両作品に参加したエマニュエル・ルベツキは史上初めて撮影賞を3回連続で受賞した。
2人はメキシコ出身。
イニャリトゥは壇上でも会見でも人種差別の無意味さを強調。
「(米国は人種が) 交ざり合った美しさに目を向けず、非常に分極化し、政治的になっている」と指摘した。
授賞式の中盤にはジョー・バイデン副大統領がレイプ撲滅を訴え、レディー・ガガの曲を紹介。
レイプ被害の過去を持つガガは大学内レイプが題材のドキュメンタリー “The Hunting Ground” (『ザ・ハンティング・グラウンド』) の主題歌を熱唱した。
主演女優賞のブリー・ラーソン (“Room”/邦題『ルーム』)、助演女優賞アリシア・ビキャンデル (“The Danish Girl”/邦題『リリーのすべて』) は下馬評通り。
助演男優賞のマーク・ライランス (“Bridge of Spies”/邦題『ブリッジ・オブ・スパイ』) はシルベスター・スタローン優勢という大方の予想を覆した。
“Mad Max: Fury Road” (邦題『マッドマックス怒りのデス・ロード』) は最多6冠も技術系のみ。
長編アニメ賞は “Inside Out” (邦題 『インサイド・ヘッド』) が栄誉に浴し、“When Marnie Was There” (邦題『思い出のマーニー』/米林宏昌監督) は選に漏れた。
(2016年3月16日号掲載)