オバマ大統領、最後の一般教書演説、決断の1年に
対北朝鮮、対IS、同盟国守る決意、米国民に結束訴え
2016年1月13日
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| Whitehouse |
オバマ大統領は最後の一般教書演説で残り1年の任期だけでなく「5年、10年後、未来の米国も語りたい」と述べ、7年間の実績を強調した。
だが、とりわけ外交・安保分野は中途半端でやり残しの課題がある。
自らの選択がより良き米国の将来につながると証明するため、限られた時間の中、大胆な行動と決断で仕上げる必要がある。
現在、最大の関心事である過激派組織 「イスラム国」 (IS) 対策に取り組む姿勢を強調した上で、オバマ氏は「米国の存在を脅かすものではない」と語った。
過度に恐れるのはテロリストの思うつぼとの認識は正しいだろう。
ただ、オバマ氏はこれまでも発言と結果の隔たりに悩まされてきた。
その典型はシリア問題だ。
2011年、オバマ氏は反体制派への弾圧を強めるシリアのアサド大統領に対し「国民のために身を引く時が来た」と退陣を求めた。
2013年にはアサド政権の化学兵器使用疑惑について「化学兵器使用はレッドライン (越えてはならない一線) だ」と宣言。
一旦はミサイル攻撃による軍事介入を決断しながら、キャメロン英政権が議会に反対され、軍事介入不参加を表明したことなどで断念に追い込まれた。
当初、ISをスポーツチームの「2軍」 に譬 (たと) え、軽視する発言をしたが、その後、ISが関わるとされるテロが相次ぎ、脅威を過小評価したことを批判された。
同情の余地はある。
アサド政権の圧政は非難されてしかるべきだし、ISの実態はよくつかめていなかった。
しかし、世界の指導者でも米大統領の発言は特別に重く、常に結果が伴わなければいけない。
アサド政権と反政府勢力、ISが入り組む内戦とロシアの介入、シリア、イラクの戦火を逃れるための大量の難民流出。
何から手を付けていいか分からぬ現状に対する責任はオバマ氏に少なからずある。
2009年、チェコ・プラハで提唱した「核兵器なき世界」。
イランとの核合意やロシアとの新戦略兵器削減条約 (新START) 発効など、一定程度の前進もみられたが、北朝鮮は4度目の核実験を強行した。
テロリストの手に渡る可能性を含め核拡散の脅威は減っていない。
道半ばのオバマ外交は後継を選ぶ大統領選で、思わぬ副作用をもたらしている。
共和党候補はシリア、テロ対策でオバマ氏の腰の引けた対応を批判。
IS支配地域での「絨毯 (じゅうたん) 爆撃」 (クルーズ上院議員) など乱暴な主張が目立ち、真剣な議論に堪えられるものは少ない。
民主党有力候補のクリントン前国務長官もオバマ政権との距離を置き、強硬路線に傾いているが、その実効性は未知数だ。
残り1年がいかに重要かはオバマ氏が「遺産」を残せるかどうかといった問題にとどまらない。
2017年以降の米国がたどる道筋に関わってくる。
(2016年2月1日号掲載)
