大統領選に名乗り、不動産王トランプ氏の “狂騒曲”
移民に対する侮辱的コメント、暴言吐くも支持伸ばす
2015年7月14日
![]() |
| © Andrew Cline |
来年の大統領選に共和党から名乗りを上げた不動産王ドナルド・トランプ氏 (69) が、移民に対する侮辱的な発言をしながら悪びれない姿勢で支持を伸ばしている。
共和党側は党全体のイメージ悪化を懸念。
対する民主党は「トランプ狂騒曲」 (米メディア) を歓迎している様子だ。
「麻薬や犯罪を持ち込んでくる。彼らはレイプ犯だ」。
トランプ氏は6月16日の出馬表明演説で隣国メキシコからの移民をあからさまに差別。
不法移民の流入阻止へ米南部国境に「万里の長城」を築くと公約した。
発言によってトランプ氏の経済活動は逆風にさらされた。
メディア大手NBCユニバーサルはトランプ氏との共同事業「ミス・ユニバース」放映を打ち切り、大手百貨店のメーシーズや米プロゴルフ協会 (PGA) も関係見直しに踏み切った。
それでも毒舌には歯止めがかからない。
支持率が急上昇しているからだ。
一時首位だった若手のルビオ上院議員を上回り、6月下旬のCNN-TVの世論調査では、ブッシュ元フロリダ州知事に次ぐ2位に躍り出た。
多くの国民は暴言に呆れているが、歯に衣着せぬ物言いが一部保守派市民の気持ちをとらえた。
選挙戦の調整役を担う共和党全国委員会は手を焼いている。
人口が急増するヒスパニック (中南米系) への浸透は喫緊の課題なのに、トランプ氏の言動はこれに逆行している。
ワシントン・ポスト紙によると、全国委のプリーバス委員長は7月8日、トランプ氏に電話し、主張を「トーンダウン」させるよう促した。
トランプ氏が無所属候補として戦う可能性も指摘されている。
そうなれば保守票が割れて民主党を利することになると全国委は懸念している。
民主党にとっては好都合の騒動だ。
最有力候補のクリントン前国務長官は7月7日放映のCNN-TVとのインタビューで「(暴言を) やめろとすぐに言わなかった共和党に失望した」と強調。
トランプ氏をねたに、共和党全体の体質を問題視する構えだ。
また、ロイター通信が7月13日、トランプ氏の側近の話として伝えたところによると、トランプ氏がメキシコ最大級の麻薬組織の元最高幹部から脅迫された可能性があり、米連邦捜査局 (FBI) が捜査を始めたという。
最近、メキシコ市郊外の刑務所から脱獄した麻薬組織「シナロア・カルテル」 のホアキン・グスマン元最高幹部と称する人物が、ツイッターにトランプ氏を脅す内容の書き込みをしたという。
トランプ氏は声明で「堕落したメキシコの当局者が (グスマン元最高幹部を) 逃がした」と主張していた。
(2015年8月1日号掲載)
