TPP妥結6月以降か、米法案審議見送り、想定に狂い
円安誘導への懸念、為替操作防止の関連法案も浮上
2015年5月13日
環太平洋連携協定 (TPP) 交渉の早期妥結を狙うオバマ政権が想定していたシナリオに狂いが生じてきた。
大統領に通商交渉権限を与える米議会の「貿易促進権限 (TPA) 法案」の審議入りが見送られたからだ。
オバマ政権はTPA法案成立に目処 (めど) を付けた上で、5月下旬に参加国の閣僚級会合を開き妥結を目指す方針だったが、6月以降にずれ込む可能性が高まった。
TPP交渉参加国のうち経済規模が大きい日米両国の協議は「出口が見えてきた」 (安倍首相) 段階とされている。
ただ、日本を含めた参加国は「法案成立前に妥結しても、米議会が反対し再交渉を迫られるのではないか」と懸念しているため、成立は交渉妥結に欠かせない。
法案が成立すると、議会はTPPをはじめとする通商協定案を一括して承認するかどうかだけを決め、内容の修正には踏み込めなくなる。
上院本会議はTPPに批判的な与党民主党の議員の多くが審議入りに反対票を投じた。
民主党は日本が米国への輸出増を狙って円安に誘導する為替操作をするのではないかと警戒。
為替操作を防ぐ条項を盛り込んだ関連法案もTPA法案と一緒に審議するように求めた。
しかし、上院で過半数を握る野党共和党はTPA法案の審議を優先させ民主党の要求を受け入れず、合意に達しなかった。
与野党指導部は成立を目指し、引き続き妥協点を探る方針だ。
ただ、焦点となる為替操作を防ぐ条項は、通貨安につながりやすい金融緩和も制限の対象に含まれる可能性がある。
TPP交渉参加国の経済政策を縛ることになるため、オバマ政権は否定的だ。
共和党も認めないとみられ、調整は難航が避けられない。
TPP政府対策本部の鶴岡公二首席交渉官 (*写真上右) は5月13日、TPA法案の審議入りが見送られたことに懸念を示した。
鶴岡氏は「(法案が成立しなければ) 交渉をまとめるための必須の条件が整わないということになる。
その中で交渉を進展させることは難しい」と述べた。
米領グアムで5月15〜25日に開かれる首席交渉官会合に向けて出発する前に取材に応じた。
同氏は、今回の首席交渉官会合の狙いは、閣僚会合を開くための道筋をつけることだと指摘した。
TPA法案が成立していないと、閣僚が政治的に判断することができるのかが不透明になるとの見通しを示し、「首席交渉官会合でも米議会の動向に注目しながら交渉する」と語った。
(2015年6月1日号掲載)